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書泉ブックタワー8Fで『百合の世界入門』コーナーができていました

秋葉原書泉ブックタワー8Fで『百合の世界入門』フェアが展開されていた。

これは12月頭の話なので、今もこのフェアがあるかはわからないが、百合の棚は常設されているという。

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泣かせるのは『マリア様がみてる』が常備されているところだ。

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主観に基づいた百合の話をする。

2016年11月は『百合の革命月』と称したのは電撃大王編集・楠達矢氏だ。

11月は『やがて君になる』『ハッピーシュガーライフ』の新刊が特典付きで発売された。
『エクレア あなたに響く百合アンソロジー』の発売、『百合姫』も月刊化。
これらの動きをさして示した言葉だ。

 

 

そうかもしれない。

ただでさえ2016年10月には『百合の世界入門』が発売された。

業界横断イベント『百合展』の開催も併せれば、2016年そのものが百合の革命年であったのではないだろうか。

百合ブームと言われるものはかつても何度もあっただろうが、今回の2016年秋の百合創作物出版ラッシュの背景にあるものは何だろうか。

これは『ひらり、』のような百合に特化されたアンソロジーが背後にあるわけではない。『やがて君になる』に代表されるように一般漫画における百合の存在感が増した現象、といえる気がする。

 

『Enty』を用いた『ガレット』の創刊も特徴的だ。

紙媒体だけでなく電子媒体の存在が広がりつつある。

出版社の本が売れない時代に、自発的に生まれた百合文化。

この流れは今でなければ生まれないものかもしれない。

 

百合と媒体の電子化は無関係ではないのではないだろうか。

以前は、というのは『マリみて』や『セーラームーン』以前の話なので大昔だが、百合の漫画というと成人男性が購入するようなアダルトな商材でしかなかった。

けれどもそのうちにゲームでもアニメでも小説でも漫画でも、百合の代表例と呼ばれるものが登場した。

アダルトな表現だけでなく、恋愛に基盤をうつし、さらにその恋愛表現の多様性、細分化が促されていった。『百合姫』、『ひらり、』、それからタイトルを抜き出すなら『青い花』から『ゆるゆり』まで、さまざまな形状の百合表現が産出された。もちろん、『きらら』系の漫画もそこに与するとみなしている。百合漫画として打ち出されたものではなくても、百合好きにはたまらないシチュエーションが数多く提供されているからだ。

晴れて百合漫画のビッグタイトルは恒常的に書店にもおかれるようになった。それが少女漫画か百合漫画かはみわけがつかないというのが一般の人たちの印象だったろう。

この百合革命の背景には百合の読者層の変遷があるように感じる。

読者として百合を支える層に女性が多く含まれるのでは、という視点が出版社側にも備わったのではないかということだ。

乙女ゲームの文化を広めたのは携帯や手持ちで運べるゲーム機のおかげだという話がある。

とてもではないがコンシューマーゲームだったら、少女たちは親の前や兄弟の前で遊べないであろう内容であることから、この話は真実味がある。

それと同様に、スマートフォンで閲覧可能な電子媒体が一定数の女性百合読者を引っ張ってきているのではないかと思われる。

性別を問わず百合読者が増えている、という話なのだが、その時に特に女性読者にとっては電子媒体が一助になっているのではないかと感じる。

コンテンツそのものではないとしても、例えば書店で百合漫画を購入するのが恥ずかしいという手合いにはオンラインショップが頼みの綱になるだろう。

 

百合が一定数売れるとなれば、出版社も書店もそれは着目する。

ただ、どんな書店でも百合棚が設置されているわけではない。

この秋口に私は秋葉原から吉祥寺まで百合を求めて中央線であちらこちらの本屋を往来した。けれども地元駅の本屋では百合姫は置いていても、百合漫画のタイトルはさっぱり。というほどの認知度だった。

 

アニメイトメロンブックスとらのあな、コミックJINなどの書店であれば百合は当然のように特典付きで展開されるが、腐女子やオタク女子ならともかくただの百合好きの女子がそうそう出入りするには入りにくい雰囲気の店もある。

店によっては裸の女の子のポスターが貼られていたりと完全に男性用のディスプレイであったりもする。

もちろん、それ自体に異存はない。

ただ、だからこそ、一般書店でも百合が着目されている場所があればありがたいと感じてしまう。

 

 

だから、こういう一般書店…いや、ブックタワーを一般と言いきるには専門性が高すぎるきらいはあるかもしれないが、普通の女の子も立ち寄れるような店に百合が置いてあるのは正しい処置であろうと言いたいのだ。

かつて、百合漫画の存在すら見当たらずに、女でありながら友達を好きになる自分がなんなのかわからず、どこにも身近な漫画を見いだせずにいた思春期をすごした者としては、こういうジャンルがあると示されるだけで安堵する。

かつて、14歳だった自分がもしもこの店のこの場所にふらりと立ち寄っていたなら。

この新しい百合の革命月に並ぶタイトルは、これまでの代表例と何が違うのだろうか?

 

前回の百合ブームの際の代表的なタイトルは何だっただろうか。

異論もあるだろうが、『普通の人も知っていそうなタイトル』を基準とすれば、認知度があるのは『青い花』『ゆるゆり』『けいおん!』、それくらいではないだろうか。

そして現在の代表的なタイトルは『やがて君になる』だろう。

前回と現在、これらの相違は何であろう。これは主観だが、女性だけの世界のなかの百合表現であったものが、人間性における百合表現に変遷されている点ではないだろうか。

『やが君』というタイトルが、百合姫などの百合専門誌ではなく一般誌から排出された点がもう既にそれを体現しているような気がする。

『仕掛け百合』『結果百合』という言葉もあるが、『やが君』が仕掛けられたものだったとしても、それが支持されなければ罠にすらならない。

新しい百合表現を支えるのは、百合を恋愛ではなく人間の属性として捉える視点、ジェンダーレスなその世代ではないだろうかとうっすら感じている。主観だが。

 

いずれにしろ一般書店に百合が並ぶのは望ましい。

百合によって書店が元気になればいい。

是非、もじもじしながら女子高生に本を選んでほしいものだ。

 

 

【参照記事】

blog.livedoor.jp

 

 

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