ゆりしぐさ ~百合漫画の表紙の構図にパターンを見出す~

百合漫画の整頓をしていたら構図にある程度のパターンが見出されたので書き出してみることにしました。


百合漫画といっても所持しているタイトルに限られるし整頓中に気付いたいくつかの手近なものを並べた感じなので、もっときちんと並べてみれば更に多くのパターンが見出されるかもしれませんが。


暇なので――暇ではないのだが――百合漫画の表紙に類似性の見られる冊子を並べてタイトルをつけて語ってみました。

 

パターン1:頬を挟んでいる

すごく百合らしい雰囲気になるのがこの表紙。おかしくない? やばくない? やばい…尊い…という一気に理性を奪われるこの雰囲気の理由を考えてみました。

まず何故か一目で百合とわかってしまう。

何故なら女子が女子の頬を挟んで一方を注視しているから。

そして両手の掌を頬に置くという時点でもうそれは二人の距離感のなさを決定付けています。

画像で見て頂きたいです。

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一方の女性が一方の女性の頬を挟むことによって生まれる場の雰囲気には若干恋愛だけではない支配的なテイストが加わるように見受けられます。
頬を挟まれる側の女性の表情に注視してください。
喜怒哀楽の感情が如実に表現されています。

つまりその放埓さの前提として相手への信頼感情、安心できる存在として認識しているがための気の許しを感じさせる構図です。
ここに示した漫画も相手との秘密を共有するストーリーが多く、秘密の共有や、それから生まれるちょっとした上下関係からこの構図が導き出されたのかもしれません。

このパターンから想起される関係は「信頼」「愛着」といった対等性であるように思われます。名付けるなら「君が好き」とでもいいましょうか。


男女の恋愛ものであれば「顎クイ」とか「壁ドン」とかに匹敵する仕草でしょうか。
この「両手のひら頬挟み」あるいは「頬挟み」は「百合しぐさ」としてどんどんやっていきをしてほしい表現のひとつです。
画像には収めていませんが「やがて君になる」第一巻表紙もこのパターンを踏襲しながら嵌りきっていないという点が頭ひとつ抜けています。そのあたりはまた余地があるときにでも別項で。

 
パターン2:宙に浮く

浮く。浮いちゃってる。片方の女性が浮いているパターンです。なんかもう…何? この…片方が浮いていることによってファンタスティックな女神感が醸しだされて求める理想がここにあるみたいなこの神聖な二人の領域には誰も入れませんみたいな。画像をごらんください。

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片方が浮いているといってもさまざまなパターンがあります。「さよならフォークロア」においては浮いている上にあすなろ抱き
その上で「さよなら」ときているのでいかにも儚い百合といったイメージですが彼女たちが離別を告げている相手は古い慣習です。自ずからの関係性ではなく。それを思うとこの「浮遊」の表紙には古さとの乖離、伝統への革命宣言的な潔さも感じられます。
「ふたりべや」「オンリー☆ユー ~あなたと私の二人ぼっち計画~」に至ってはもう相手の懐に飛び込んでしまっています。浮くどころじゃない、飛び込み
近年の百合姫作品においては出色の「明日、きみに会えたら」では鏡越しに手をあわせて浮いているという複雑な構図です。これはタイムリープを生かしたパラレルワールドもの、という物語の枠組みをよくあらわした構図とも言えるでしょう。
「明日きみ」は複雑な設定のうちに同一キャラクターを様々な関係性の枠組みにおかせることで多彩な表情を見せるという巧妙な仕掛けに成功しています。表紙にもこれくらいの情報量が適しているといえます。
「浮遊」の表紙は少女の幻想性を表現する時に適しており、その位置関係によって彼女たちの関係性も予想できます。好き。このパターンは「蝶々」と名付けたいです。勝手に。画像には納めておりませんが名作「終電にはかえします」もこのパターンで、乖離と飛び込みを程よく備えています。ケースの奥にしまっているのですが出してくるのが大変だったのでちょっと画像にお納めできていませんが…うん…そういうこともあります。ブログなのでそのへんはお許し願います。暇をみつけて差し替えます。

この要素に気付くと登場する主要人物の年齢の高い百合の代表作に「寝転んでいる構図」が多いことも自然だと感じられてきます(「私を私の世界を構成する塵のような何か。」や「2DK、Gペン、目覚まし時計。」等)

 

パターン3:挙式している
はい、こちらの画像をごらんください。

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ご成婚おめでとうございます。
もう結婚している。結婚しているんです。結婚しているんですよ。
もうこれ…わかります? 私にはわからない。尊すぎて意味がわからない。でもわかる。理解はできている。でもわからない…尊すぎて理解が及ばない領域…何この神々しい…涙がとまらない…ありがとうございます…。
おめでとうございます。心よりお祝い申上げます。
画像には収めていませんが「純粋アドレッセンス 完全版」もこのパターンです。ケースの奥にしまっていて以下略…。今回はあくまで整頓していて気付きをえた本を並べただけだったのでご容赦頂けましたら。
偶々ですが、ここに並べた加瀬さん。の表紙は「ひらり、」最終巻で、「明日きみ」も最終巻である二巻の表紙です。共にちょっと露出度が高い。大人の事情でしょうか。
とにかくおめでとうございます。名付けるなら「挙式」。挙式という形式で最終形態という記念式典的な雰囲気を醸している点でどこか大衆性が生じています。冠婚葬祭ですから、結婚するとなるとそれはもう閉じた世界ではない、恋愛よりも一歩先の何かを感じさせます。何も言うことなどないこの表紙ですが、敢えて気付いたことを加えておきます。
かつて最終形態が「挙式」とされていたのはかつては少女漫画のパターンだったんです。少女・乙女にとってはどうやら結婚が人生の最終課題で夢とされていたのがかつての少女漫画でした。その夢が平成に入ったあたりから時代やらケータイ小説やら様々なものによって破壊されて、昨今の少女漫画でのハッピーエンドは必ずしも「最終形態が結婚」ではなくなっています。その伝統や枠組みが百合漫画の萌芽時代に受け継がれていた気もします。百合であることによってその枠組みが新鮮に感じられる伝統的恋愛表現は他にもありそうな気がするので、どんどんやっていきをしてほしいものです。
余談ですが、一方で「結婚」を最終地点としない、あるいはそれを起点とする漫画(「月が綺麗ですね」「ふ~ふ」等)もあります。どちらも好きです。

 

パターン4:並んで寝ている
よく作中の人物の目線が読者に向いているか、互いに向いているかどうかが百合では肝心という話を見聞きします。さておき、並んで寝ている構図も結構ありました。

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体も正面に向いていて目線もこちらに向けられていても二人が手をつないでいたり髪にふれあっている、という身体接触の要素があるだけでこの構図は百合ではないでしょうか。互いの所有性を誇っているように見られる。「少女セクト」と「ひらり、」2012年夏のvol.8。「ひらり、」表紙は袴田めら先生作です。表紙に表現されている少女二人は巻頭漫画の「花と稲妻」の人物。性質も外見も正反対な二人が仲良くなるお話です。一方の「少女セクト」も主軸となるこの表紙の二人はまったく別の外見と性質の主です。
全く二人の性質を有する少女が接触を示している、そしてこちらに目線を向けている。これはけして読者を意識した目線というわけではなく、彼女たちの所属する組織やグループのうちから抜け出す過程の宣誓的な目線ではないでしょうか。手をつなぐことは所有だけではなく脱出のための手つなぎ、共存性といったものを感じさせます。単なる依存ではなく勇気のある触れあい、未知なる存在への認識。そうしたわけで浮遊とは全く逆の実在性、リアリティがこの構図にはこもっています。肉欲を描いている「少女セクト」がこの構図に落ち着いているのも不思議ではない正面からの描写なのです。好き。

名付けるとするなら「聖域」とでもいいましょうか。二人の間には作中の邪魔者はおろか読者も何者をも入れません。

 

他にも色々なパティーンや、これを踏まえた別枠や、このパティーンにはこれがはまる! といったものがありそうな気がしますが虫干しの合間に気付いたことなので今回はこのへんで。

今回はパターンの話でしたが、単にこの表紙が好き! というタイトルの話もしてみたいなあ。「月と泥」とか。

百合展細見

東京開催の百合展2018に行って来ました。

そして記事を書かせていただきました。その際に未掲載となった作品案内のテキストここに記録しておきます。ちなみに文体が掲載時とちょっと違います。だ・である調です。五十音順です。

media.comicspace.jp

天乃咲哉先生の展示はアニメ化もされた『このはな綺譚』。和風でファンタジックで獣耳という堪らない設定のなかに百合が踊る安心の作品。とにかく柚の可愛らしさが伝わる作品展示に目尻が下がる。 

○江島絵理先生の『柚子森さん』からは美麗イラストがふんだんに展示されている。明るい未来を予感させる完結を迎えたばかりで、小学生の柚子森さんの思い出をなぞっているかのよう。 

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○川浪いずみ先生の『籠の少女は恋をする』は辛辣な目的のもとに設立された学校の悲劇的な百合が見所。一見、性的なテーマを扱っているようにも見えるがその設定に於いて築かれるものが単なる恋ではなく純粋な友情やその絆である点が新しい。シリアスな場面の多い展開の中でもどきっとする原画の展示に足がとまる。 

○tMnR先生の『たとえとどかぬ糸だとしても』は兄の配偶者である女性への恋心にその婚姻の場で気が付くという、失望から始まる物語で百合ジャンルを超えて話題。主人公のウタに常識があるだけにその苦悩が痛ましい。鮮やかな筆致の原画展示は是非とも見ておこう。 

西尾雄太先生の『アフターアワーズ』はこれまでにない新感覚のクラブを舞台とした百合マンガ。主人公のエミはケイという女性と知り合い、その夜のうちに仲睦まじくなりそのまま一線を越える。性別へのこだわりなく踏み越える二人の絆は独特で格好いい。『百合展2017』では特別参加だったが今回からの正式参加に思わず喝采を送りたくなる。 

平尾アウリ先生の『推しが武道館いってくれたら死ぬ』は地下アイドルオタのえりぴよという立派な成人女性と彼女が魂と主にお金を捧ぐアイドル舞菜の相互片思いマンガ。百合という観点からみるとえりぴよよりも舞奈の業が深いのがポイント。安定のCamJam百合メンバー眞妃とゆめりのデート場面原画はありがたく尊い。 

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○文尾文先生の『私は君を泣かせたい』は純情ヤンキー虎島ハナと仮面優等生相沢羊の距離感が絶妙な百合マンガ。畏れていたヤンキーの涙腺が決壊する瞬間を見てしまった羊がさらりとSな素顔をさらけ出す瞬間が良い。ヤンキーという種族と百合の親和性は高く胸に刺さるだけでなくストーリーのテンポが心地よい。一喜一憂の機微も上質だ。展示ではまさにハナの泣き顔をじっくり見られるありがたさ。 

 

○南方純先生の展示は描きおろしのカラーイラスト。フルーツやスイーツをモチーフに対照的な漆黒と純白の少女二人が回転するように指を絡めている。それはもう、実質……。なんと表すかは控えるが見ておかなければ損をする。また百合展専用のPOPに至ってはファン必見のリドル尽くしだ。

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○未幡先生の『私の百合はお仕事です!』は「リーベ女学園」という百合な設定を前提としたコンセプトカフェで働く女子高生・白木陽芽が主人公。演じるべき役割と矛盾した人間関係やその人物たちの本質を赤裸々に綴り、ポーズとしての百合場面が映える一方で透かされる本心から目が離せない。華やかな絵柄で今回から晴れて参加の原画は目に焼き付けておきたい。 

 

○雪子先生の『ふたりべや』の登場はひとつのエポックメイキングだった。しっかり者の桜子が美少女かすみと同居するコメディ・ストーリーだが、ほのぼのした雰囲気のうちにたまに垣間見える桜子のかすみへの独占欲が完全に百合。愛や恋も超越して既に成婚しているとしか思えない二人の日常をいつまでも見ていたい。展示はコミックス表紙のイラストもあり鮮やかな色使いを直に拝める。 

吉富昭仁先生の『リリィシステム』の立ち上がりは『百合展2016』より百合展用に製作されたイラストシリーズ。吉冨先生といえば数ある百合アンソロジーでフェティッシュな関係性の百合を描き出しているありがたい存在。SFな百合好きにはたまらない世界観は、他の追随を許さない画力があってこそ。原画の精緻な美しさを是非鑑賞しておこう。 


○『エクレア あなたに響く百合アンソロジー』からはU35先生、川浪いずみ先生、缶乃先生、 北尾タキ先生、仲谷鳰先生、ヒロイチ先生、 結川カズノ先生の原画が展示されており、エクレアのハイライト場面が集結している。 

○百合コミック誌『ガレット』からは竹宮ジン先生と袴田めら先生の作品が展示されており見た瞬間に嬉しさが募る。竹宮先生の鮮やかな描線が描き出す凛々しさとシリアスな迫力と、時にコミカルなテンポで表現される大衆性。 袴田先生の恬淡とした雰囲気のうちに切実な情愛を抽出する作風。やとさきはる先生や寄田みゆき先生などガレット連載陣のポップも愛しく、確実に百合展にきてよかったと思えるエリアだ。

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○『ガレット』でもお馴染みの高橋みのり先生の作品は中間色で鮮やかに彩られた少女たちの自然な触れ合う姿が素敵だ。少女性をまっすぐに見つめ、自然な雰囲気のうちに寄り添う被写体は本当にその中で互いを想いあっているように映える。 

○美少女撮影活動チーム「Albina Albina」の作品群はリボンやレースをふんだんにあしらった少女マンガの世界のような雰囲気の少女たち。そっと寄り添う姿が幻想的でたまらなく愛しい。童話のような世界観でずっと見ていられる。 

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前年の「百合展2017」では15名の作家が参加していた。「百合展2018」ではその倍となる30名の作家が参加している。つまり2019年は60名、2020年には120名となることも推測される。やがて会場は国際展示場に飽き足らず世界を多い惑星を覆いつくすことであろう。
百合はまるで星の間に星座を見出すようなもの。星はもの言わず静かにそこに瞬いている。自らにとって素敵なものをただ求めよう。
そこには自分だけの星が見付かるだろう。

 

以上です。

取材目当てで行くとゆっくり見られないというか、どうしても色々考えながらばたばたするので、明日のコミティアで再度鑑賞したい。青山のスタジオはほんとにロケーションがよかったです。

 

告知

あけましておめでとうございます。

 

数万年ぶりにホームページを更新しました。

水曜区

 

綾奈ゆにこさんと共有のnoteを開始しました。

ゆにこさめ|note

さらっと言っているけれども、緊張しています。いや、私から持ちかけたのですが…!(でも電光石火で綾奈さんが応じて下さってほんとに感謝しています)

百合や、百合でない話題も、日記や、日記でない創作も色々放り込んでいくゆるーい集合場所になればなと思っています。じわっと長く続けられるといいなって。宜しくお願い致します。

 

GirlsLoveFestivalSP3  JK同士百合ONLY「Lyceer Lilia Memoire」参加します。3/18です!

スペースはJ05「甘辛パラダイス」です。

百合オンリーイベント「Girls Love Festival SP3」

念願のGLfes初参加です。川崎なのでちょっと遠いかな。

百合展のあとに泊まりの予定にしたけどどこ行こうかなー的な余裕のある方は是非(どういう宣伝だ)。新刊はないですが何かペーパーとかもって行きたい…

 

今月中か来月くらいにもうひとつ新しい仕事始まるというか、記事掲載先がひとつ増えそうなのでしばらくはそちらを頑張ります。漫画、読むぞ。

あと、ずっとお蔵入りにしていた作品を引っ張り出してくるつもりです。それは五月とか六月くらいに積み上げていきたいな。

共有noteを所有したことで自分のnoteにも目が向いているので、ちゃんとそっちも更新します。

 

 

百合発行物まとめ

2017夏冬と発行した頒布物の販売経路整理のためにもご案内させていただきます。

 

2017夏のコミケット発行「ふじょ☆ゆり あのこにヒミツを知られたら」

豊田あしほは生徒会長。
生徒の手本となるために自分の『趣味』を隠していた。
ある日共通の趣味をもつ御剣蘭(みつるぎらん)にあっさり暴かれ本性を紐解かれてしまい、ついには恥ずかしいことを強いられるように。一方、蘭の前には不穏な青年と美少年の二人組があらわれて…!?
教師や不良やオタクたちを巻き込んで展開される腐女子×腐女子ガールズラブコメディ、開幕。

《委託・通販》

メロンブックス様(予約受付中。2月には通販開始されると思います)

www.melonbooks.co.jp

●COMICZIN様(現状、購入不可となっています…やがて再開されるのかも)

COMIC ZIN 通信販売/商品詳細 ふじょ☆ゆり あのこにヒミツを知られたら

電子書籍

kindle

 

ふじょ☆ゆり あのこにヒミツを知られたら: 本編

 2017冬のコミケット発行「愚図にトリセツは存在しない」

ある寒い夜に加湿器が壊れた。
私、佐藤みやびは問い合わせをひとりでこなし、修理依頼するために家電を梱包して家を出た。
扉を開いたらそこには高校生のときからの腐れ縁・白石いづるが待っていた。
白石は女性から女性へ渡り歩く性質の悪いレズビアン
女にふられて行くあてがないと転がり込んだ白石を追い返そうとするも、壊れた家電をきっかけに同居することになり…

春夏秋冬をめぐる季節家電と白石と『私』の同居生活。
実在の家電が登場します。

メロンブックス

www.melonbooks.co.jp

愚図にトリセツは存在しない

 

愚図にトリセツは存在しない

愚図にトリセツは存在しない

 

 

そんな感じで改めて2017年は二冊も同人誌を出したのでがんばりました。(生きているだけでえらい論法)いや実際腐女子百合の小説本は番外編もいれるとかなりの厚みなので大変だったのです。

これをふまえて2018年は職能百合の本を出したいと思っています。あるいは外道百合。

 

ところで「既婚者女性が少女と出会い一過性の百合では? と悩みながらも最終的には好きで好きで仕方なくなって特に悪者でもない夫と離婚する百合(なんかこう財産とか立場とかなげうつやつ。確かに社会通念上夫を愛していたから少女に信じてもらえず一度はふられて苦しむやつ)」を書くとツイッターで宣誓したのでそれをちまちま書いていくつもりです。

でもこれ脳内に白百合版と黒百合版とあって、とりあえず白百合版から書き出してみています…

slib.net

今年はもう少し書く時間がほしい。

もしお気に召す作品がありましたらkindleでレビューなどくださいますとおおいに喜びます。宜しくお願い致します。

「百合ナイト 第0回」にいってきました。

2017年1月14日、歌舞伎町ロフトプラスワンで開催された「百合ナイト」に参加してきました。

百合ナイト、大変充実した一晩でした。

行ってみましたところ、ガッチガチの安定百合オタイベントでした。

『百合ナイト 第0回』 – LOFT PROJECT SCHEDULE

 

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ざっとですが記録しておきます。

もう少し詳細に綴りたい気もしますが、概要を。

 

橘田いずみさんや小玉励さん、沼田誠也監督、淡乃晶さん、高橋みのりさんと森島明子先生、それぞれに百合に造詣が深く安心できるイベントでした。

冒頭で好きな百合を一冊紹介するのはいい構成だったと思います。

 

橘田さんの「百合が好きといってもなかなか語る機会がない」という気持ちがひしひしと伝わってきて、かなり共感。SMチックな百合が好きだったりと、思った以上にエロスに貪欲な方なのだなと感じられて面白かったです。こういう言い方は失礼なのかもしれませんが既知の百合愛好家と完全にノリが同じだった。なんだか友達の話を聞いているような既視感があり個人的に入りやすかったです。百合好きの共通点なのかもしれない…

 

森島先生の「女の子は好きって周囲にいえるけれどオタクだってあまり言えない」というお話、創作活動などをしている者として深く頷く一幕がありました。

百合そのものというよりも、妄想や創作ってそうだよね! と。

この一言、ひょろっと聞こえたワードだったんですが、百合関係なしに感動してしまった。

自分も百合や女子が好きと言うことはリアルに言いやすいのですが、創作活動を周囲に漏らすと引かれてしまうことがあります。リアルはいいけれども妄想はNGという恐らくは先生の学生時代(かな?)の青き悩みが伺えてぐっときた。現在でも学生などの若さだと創作活動していることは言いづらいという風潮はあると思うんですよ。いや大人でもプロでない限りはなかなか悩ましい。

ユリ熊や百合姫に関するコメントも伺えました。生命感のある明るい未来のある百合が好きといった心持を明かして下さって、漫画の通りにまっすぐで。今まで参加したトークイベントよりも好きなことに関する話題であるため、参加できて嬉しい、楽しいと仰っていたのが、百合ファンとしても嬉しく感じました。女子が女子のハートを射抜く、みたいな表現が好きというお話を幾原監督にされていたそうで、けれども恥ずかしいから秘密に…ということでお願いしたそうなのですがバリバリにアニメに活用されていて驚いたというお話がとてもレアでした。

ユリ熊の「射撃」っていうモチーフは、殺傷ではなく女子力(百合力)をあらわしていたんだなーと実感。そういう視点で考えると、ユリ熊への洞察がとても深まる。なるほど、鉄砲を持って追いかけてる姿は単に女子に恋する女子だったのか!?

「心臓を射抜く」というより「ハートを射抜く」だと仰っていて、確かに意味合いが大きく変ってくる。ユリ熊嵐、もう一度見直したくなりました。

 

沼田監督や小玉監督はそれぞれに百合アニメに関わっている方々で、けれどもアニメをあまり見ない自分は作品を拝見したことがなくてどんな感じだろうと思ってました。しかし。のっけから「harmoney」や「ダーティペア」や「ハスメド」などディープな百合のタイトルが飛び出してきたので、信頼感がすごかったです。ハスメドやダーティペアについてはもっと語って下さってもいいのに、と感じました。

ストパニミルキィホームズ、2018年になって今更かもしれませんが見てみようと強く感じました。信頼…!!

 

高橋みのりさんは作品のプレビューなども見せてくださいました。百合展やガレットの時から色使いが美しい百合写真を撮影される方と知っていたので、ご本人をお見受けできて幸いでした。写真家らしい控えめな方で撮影される写真のイメージそのままな雰囲気。美しい一枚の撮影裏で少女たちが自然に百合的な仕草を醸したと語られ、マニア垂涎の裏話でありがたさが凄かったです。

 

淡乃晶さんについて、今回最も興味をもってうかがった方でした。舞台で百合を演目としている方がいるということ自体、この百合ナイトで知りました。映像をちらりと見て内容を多少伺っただけでしたが、悲恋や「いやいや」なシチュが好きなかなりディープな百合好きなお方で、舞台に興味がわきました。DVD買ってしまったよ…

 

「百合なめんじゃねえ」というTシャツを宣伝しており、エポックメイキングだと思いました。買えばよかったな…と思ったら劇団fragment edgeさんの公式HPでトートバッグはまだ売ってらっしゃる。買おうかな。

fragmentedge.thebase.in

 

皆さんのそれぞれの百合への想いが溢れているのが伝わってきました。

途中「百合女子会」が入り、森島先生、橘田さん、高橋さんだけの三名で語る時間があり、とてもほのぼのした気持ちに。

最後に森島先生からは「百合は宇宙…みたいな話がもっとしたかった」というキーワードが出てきて、それが締めの言葉になって、しまいにはポーズまで決めることに。

ポーズがなかなか決まらず、けれども小指を絡める仕草によう、という森島先生の提案で決まったのですが、長年百合に携わってきた先生だからこそまろびでるポーズではないかと思いました。強い…強さがすごい…と感じました。

小指を絡める、というポーズは最高だし、百合の本質を本当に理解されていらっしゃる。最後の締めが「百合は宇宙」になろうとは誰が予想できたでしょう。

 

しかしロケーションがちょっと寒かったかな、という感じです。自由席であることを失念して末端の席になっちゃった自分が悪いんですけどね。何故かこの手のトークイベントはチェックが甘いときがあって端っこになりやすいのでもうそういう宿命なんだと思う。同じロフトなら阿佐ヶ谷とかのが嬉しいな…けれど去年「捏造トラップ」試写会も歌舞伎町でしたので、歌舞伎町にこうして百合カルチャーがじわっと根付くのも楽しいのかもしれません。

 

結論、オールナイトでもまた遊びに行きたい楽しいイベントでした。

またやってほしいなー!

 

 

活動概況

活動が散り散りになってきたので最近行ったことをまとめておきたいと思います。

ツイキャス「ゆりがたり」

大北紘子先生の作品について語らせて頂きました。

Live History - krkawwa - TwitCasting

放送後に大北先生から生の百合作品ネームを頂いてしまったりと今さらっと語ってるけどこれ大変なことだからな。大変なありがたきハピネスだからな。大変ありがたきハピネスに見舞われたので私は年を越すことが無事にできるのかどうか。シェパーズパースの奇跡を忘れない…

www.pixiv.net

みんな「楽園の神娘―クロリス―」を読んで。ほんと…イイから…

軽い口調でしか語れないのが口惜しいけど元百合姫で掲載されていた大北先生が今は講談社で連載している漫画が素晴らしい、誰かこの事態を解説してくれ。

 

楽園の神娘(1) (アフタヌーンKC)

楽園の神娘(1) (アフタヌーンKC)

 

 

「ゆりがたり」は好評だったので年明けにまたやります。新旧問わず語りたいものが色々。

百合キャスもコンスタントにやっていけたらいいけどな…

百合の話を聞いていたらいつの間にか全員篠北礼子のファンになっていたみたいなことにしてやるからな…そう、私はいずれ「やじきた学園道中記」とか語りたいんだ。いつの間にかそういうことになるよう洗脳してやるんだからな。(何もかも口に出すよ)

 

○Enty終了

同人誌リリースや過去作品のお蔵出しの場として大いに活用させていただいたのですが、2017年末をもちまして、続けていたシリーズ終了にあたり、きりがいいので一旦終了いたします。

既存会員の方に熱く御礼申上げます。詳細はEnty内にてご確認ください。

enty.jp

 

冬コミ参加します

新刊出しますよ。今回の表紙はあおい華葉様です。

「愚図にトリセツは存在しない」は実在家電の登場する百合短編連作小説です。

クズなレズと同居する羽目になったOLさんが季節ごとに家電のトラブルに見舞われたりその故障を修理したりなんかしていくうちに百合めいた何かが生まれるあれな小説です。140P/文庫サイズです。

www.pixiv.net

既刊は「ふじょ☆ゆり」です。表紙は水菜アナゴ様。

www.pixiv.net

www.pixiv.net

 

スペースはツイッターとかでチェックしてね。

こさめ@土曜東ア20b (@krkawwa) | Twitter

 

○noteで始めたマガジンがあります。

note.mu

マガジンそのものは無料だけどnote(ページごと)は有料みたいな感じになってしまったので割高感があるかもしれない…でも創作の秘密があるのであんまり無料にはできない。初回分はEnty有料会員向けにはリリース済みの内容なので既存会員の方はお気をつけ願います。内容まったく同じです。

 

 

 

2018年はkindleをメインに長めの百合小説を書いていきたい。

ひとつ、完全に網羅したい物語があるのです。そのための勉強が不足している。

長い長い物語を綴りたいです。記事もコラムも楽しいのですが、物語がやりたい。

がんばります。

 

 

 

 

 

 

ゆりがたり 大北紘子/大北真潤先生編 

神の作品について語ったら授かり物を受けた。

思いがけないことがあるもので、本当にそれは軽い気持ちからはじまった。軽い気持ちといっても実は重い気持ちが詰まっている言葉で、ふわふわ雲に浮いているようなつぶやきをしてみたのだ。

おおきたせんせいの百合を語りたいから週末にツイキャスしたい

— こさめ@土曜東ア20b (@krkawwa) 2017年12月8日

 

「青野君に触りたいから死にたい」(椎名うみ/講談社)みたいな口調で。
実は今年に入ってから百合に関する放送をニコニコなどでやらせっていただいたことがあった。それがそれなりに楽しくて、一回でいいからひとりでやってみたくなったのだ。いつどこでなにをどうすると具体的な概要を示さない本当にふわっとしたプランをつぶやいてみた。

ツイキャスなら手軽にできるのだ。
年内にやり残したことのひとつとして「大北紘子先生作品のよさを訴える」があったが、やりそびれていたのだ。心残りであったのだ。

大北紘子(おおきたひろこ)先生こと大北真潤(おおきたまひろ)先生の新しい単行本「楽園の神娘―クロリス―」が2018年1月5日に発売されるという啓示を得て、ますます年内に布教をしなければ…と思いを新たにしたつもりでつぶやいたのだ。

語るなら今だ…そう意を決してつぶやいてみた。


そうしたら神に声が届いた。

聞きに行きたい~

大北真潤 (@ohkita_mahiro) 2017年12月8日

 

このときの私の心境として、まず真っ先に「大北紘子先生って実在するのか」(アカウントをフォローはしているが実在性の疑わしい神威に満ちている側の神なので絶対に五感では認識できないはず)「今私のツイートを神が認知した」(下賎のもののふわっとした声をなんか更にふわっとリアクションした)「恐らく私の余命はもういくばくもない」(こんな幸運がありえるのか、神よ私はどんなものでもささげます)ということが思考されたのだが、とにかく頭が真っ白になった。
なんというかつまり昇天した。さようなら、みなさん。さようならでございます、地球様。そんな具合に草野心平の蛙が地球にわかれをつげる詩のような現実との乖離に至った。至るだろう。至らざるをえないだろう、これは。

よしんば神がリアクションしたとして、私の配信を聞いてくださるなんて…って聞いてみたいって仰っているな、人間にわかる言語で…と何度も疑わしい気持ちでこの信心の不足しながらも神の望むままの子羊としてその後も放送内容について具体化していくつぶやきを行ってみた。

とにかくふわっとしたつぶやきから始まってそのようなことが起こりえるはずはない。しかし神は私が具体的なことをつぶやくとその都度反応を、御RTや御拡散などの神威を発揮され、つまりなんというかありがたいご対応をくださる。何がどうなっているのか。

僭越ながら大北紘子神のことを作品とともに紹介する。
2011年から『コミック百合姫』(一迅社)で鮮烈にしてヴィヴィッド、鮮やかなる(すべてが重複用語だが本当にそうなんだ)デビューを果たされ、そのシビアな世界観と対照的な華やかな画風で少女たちの時に残酷とも言える物語、すなわち百合漫画を数多く掲載。

2012年6月に「裸足のキメラ」が刊行。
2013年6月に「月と泥」、2014年7月に「Vespa」が刊行されている。
これらの三作品は私にとって百合の教科書、教本。

つまりまあ、神なわけ。キレ気味にそう言いたい。

どこらへんが神かというと、旧来のSとか百合というのは客観視して鑑賞した時に鑑賞に耐えうる美しい少女が美しい少女と制服や校則の制約のなかでどうやって羽化するのか、という瞬間とともにその情愛を描いた(以下略)、一言であらわせば幻想的なものとして表現されることが多かった。
一方で百合姫というのはそこにどこかシステマティックな葛藤を入れたり一筋縄でいかない設定をしつらえたりもしてくれて、どこか新しさがあった。

大北先生の百合は完全に新しかった。鮮烈って五万回あらわしたい。

 

「月と泥」の帯にはこう記されている。「男なんてみんな死んじゃえばいい」と。
これは要するに男性排除の意思があるように見えて、今見ても過激なコピーだと感じる。
ここまで男性を排除する一文が帯に踊る百合作品は後にも先にもないのではないか。
例えば男性に隠れて、とか、男性を避ける、という秘密の香りに満ちていたその「秘密」こそが百合だというのが旧来の雰囲気だったものを、こうまで明るく闊達に排除を宣言した帯はほかにない。

この一句は恐らく売るために極端に作風を言い表し凝縮した宣伝文句そのものだろうとわかるのだが、この一句のために大北神作品をミサンドリーと同一視するレビューを見たことがあった。
ミサンドリーとは普通の男性をも嫌悪したり悪者扱いすることだと思うが、大北神作品の少女たちは男性を憎しみはしてもその相手には憎むべき素質がある。ミサンドリーの作品などではないのだ。普遍的な男性を男性というだけで憎むことをミサンドリーというのだが、そのような無分別な視点はどこにも一切微塵もない。

恐らくは彼女たちが怒ったり嘆いたりしていてそれが男性に向かうものとして描かれているので、そのように表現されたのだろう。
しかし先述の通りに彼女たちの怒りは相手が悪辣残酷で人生を踏みにじられているために生じる正当なものだ。
あれがミサンドリーなら週刊少年ジャンプ連載尾田栄一郎著の「ONEPIECE」はもうすごいミサンドリーだといわざるをえない。

では彼女たちの怒りはどこから生じどこへ向かうのか。
それは複雑な社会への怒りであり、けして男性排除や自らの関係の禁断性からの抑圧などではない。中には恋情などかけらも微塵も互いに抱いていない関係性も描かれている。彼女たちは手をとりあって逃げたり蔑みあったり罵ったりもするのだが、その怒りはけして恋情から生じる悲しみではない。

女であることへの不本意、その不自由への怒りだ。
けれどもその不自由は男なんて死ねばいいというだけで言い尽くせるほど短慮な憎悪ではないように思われる。
男だけではない。
愛されなかった者が女であるというだけで愛されなかった時に感じる憎悪はただ「男が憎い」というだけではない。
社会慣習が憎い、男が憎い、ともすると、自分を愛さないあなたが憎い、となる。
この憎しみを百合とあらわさずとして何とする。尊いというほかに何か言葉があるか。
たったひとつを愛する余りにその愛が得られないあまりに一切を憎む、大北紘子神作品では、その露骨な台詞も描線も輝く石のような目の表現も尊い

第一がこの素晴らしい絵の前に何か言うのも野暮だ。
恐らくはこの過激なコピーは「裸足のキメラ」収録「花々に似た蟲」の登場人物(凄く好きな人物です)の台詞「世界中の女たちは心の何処かで男はみんな消えちまえって思ってるわ…」をシンプルに整理しただけの惹句であったろう。

これはもしかしたらセパレイティスト、女性だけの世界を望む者の心境かもしれないが、「花々に似た蟲」を一読すれば、この台詞の憎しみの向かうところが男性といった世界の半分を占める生物だけに茫漠と向けられているだけではないのがわかる、はずだ。

紹介が長くなった。

とにかくそんな大北先生の作品をもう一度読みたいと思っていたところに新連載「楽園の神娘―クロリス―」が講談社「good! アフタヌーン」で開始されたというのだ。
ありがとう護国寺、ありがとう講談社

 

「楽園の神娘―クロリス―」の主役は男女コンビだ。しかし登場する敵役の少女たちにすべてに花の名がついている。植物モチーフの女の子たちなわけで…つまりまあなんというか待ち焦がれていた大北紘子先生の女の子たちがたくさん出る漫画だった。そして画面がすごく冴えている。そこには抑えられていた何かが爆発していた。

つまり百合だけでは表現されきっていなかった社会的視点とか大人の視点、学生の世界ではありえない俯瞰の視点があった。そこで少女たちが暴れまわっている。

過去作品のことを少し語ってみようか、とつぶやいてみるのも当然だ。
しかしてそれが神が聞いてくださるという。
私の語りを。

まじか、としか言えない。


いや、神の作品の魅力を語ろうと言うのを神そのものが聞くというのは私としてはありがたい一方で「プレイ」としか思えない。羞恥プレイの意だ。いやもう羞恥の領域を超えて懺悔では? 何の懺悔かはわからないけれども!
神への萌え、すなわち祈りを述べるわけだからその祈りをご本体が聞き届けるのは自然なことなのかもしれない。プレイというのは祈りという意味もあることだし…。

どう考えても僭越至極すぎて私の身に余る光栄すぎて緊張する。

しかし、聞いてくださるというのだ。これはまじめにやらないわけにいかない。
いや、最初からまじめにやるつもりだったけれども。

 

訴えたかったこととして、大北先生の百合作品の作風は「反転百合」ではないかということだ。
対極の立場にある女と女の視点や身分がある日突然反転する。
それまでの過程とそれからを描く緊密な場面の連続。
それを勝手に反転百合とあらわしたい。
そのことについて共感を得たい。
その一心を語ってみたかった。

既に三冊刊行された作品の作風には「現代もの」と「それ以外」があり、「それ以外」はいわばファンタジーやSFのテイストを含んでおり、そちらには長編にもなりうる要素のあることを、つまり百合を超えたエンターテイメントであることを訴えたかった。

それぞれの作品のタイトルを記しておく。

【月と泥】

月と泥 

六花にかくれて 

好きの海の底

しあわせにしてほしい

丘上の約束

鎖の斬手

鎖の少女たち


【裸足のキメラ】

裸足のキメラ

名もなき草の花の野に

欠け落ちて盗めるこころ

裸足のキメラ

はんぶんこ

花々に似た蟲

愛と仕事と金の話をしよう

この花がしおれるころに


【Vespa】

play:1

play:2

play:3

インソムニアガール

7年9ヶ月前の甘味

18日前の黒色

15年と6ヶ月前の秘密

以上、タイトルだけで詩が感じられることが伝わるだろうか。
これらを「現代もの」「それ以外」に大別して語ることにした。
いずれこれらはnoteでも大別して少しずつ綴っていきたいのだが。


しかし配信にあたりこれほど緊張しかないものなのだろうか、ツイキャスとは。
本当に神は降臨するのだろうか、ご視聴くださるのだろうか…と信者あるまじき疑念を抱かないわけでもなかった。
神を信じて殉教する聖者って本当になんていうかすごいなとも思った。だって自分なんかもうほんとまじドキドキしすぎて真っ先に疑ってるもの、どっきりじゃないかって。
でもこのアカウント本物だもの、大北先生だもの。でも、あの。でも、え、まじで。

そんな独言状態に陥りながらも私はバッテリーを購入し先生の作品を再読し観点を改めた。いいんだ、神が聞いていようとも粗相をしてしまうかもしれない緊張に既に失禁していても私は大北先生の作品について語りたい。それだけの一心だ。

震えながらも予告した日時にツイキャスを始めた。実際ツイキャスを行うのが初めてだ。何度も言うが緊張しかない。
部屋でなく近所のカラオケボックスで行うことにした。だが予定していた店はもう満員で(それはそうだ12月だ)、時間が大幅に押したし、最初の二十分はミュート状態で声が配信されていなかった。そのことを視聴者に指摘していただけて救われるほどのビギナーだった。こんな配信を神が聞いてくれるわけがない。むしろこれ聞かれたくないなというポカ具合だ。

本当にご降臨があるのか…という心持ちに至る以前にまずツイキャス初心者として単純に恥ずかしさと緊張があり、もうどうしようもなく不安を抱えつつ語りをすすめていった。

ツイキャスという放送は配信中にリスナーの方からアイコンをプレゼントしていただける仕様がある。
12月10日の20時16分、それは起きた。
ある方からケーキのアイコンが飛んできた。
それが…つまり…

それが大北先生からのケーキだった。

絶句しそうになったが、ツイキャスの性質上沈黙してはいけない。

先生からケーキが飛んだ途端、天変地異かというほどに心臓が高鳴り動揺するとともにカラオケボックスのBGMが途切れスマートフォンは電源消耗を知らせるアラームを鳴らし、もう本当大変な事態に陥った。

もう本当…

『今死んでもいい』と心から感じたわけで…

 

なんとかそれを配信し終えた夜、帰宅して、準備のために放置していた洗濯物をコインランドリーに運び、飯を食い、大きめのスーパー銭湯へ向かう道中、その中央線沿線沿いの酒場のすっかり減った夜道でも、泣かずにやりすごしたのは実感がなかったためだ。

結果としては本当に私と同じ大北神ファン、いやもう大北患者と呼べる連綿としたファンが集い、話を聞いてくださった。

それだけでも幸福なものを、大北神が降臨してくださった。しかし、あまりに理解を超えるためによくわかっていなかった。

けれども、帰宅して改めて録画を編集しツイッターアカウントをひらいたとき、先生からDMがきているのに気付き、そこにとても丁重な御礼のお言葉、過去作品に関する言及、そして未公開の完成されたネーム作品のデータリンクが貼られているのを見た時、そしてそのデータをダウンロードして拝読しているうちにそこにある物語の一切とそのラストがあまりに嬉しくて感激して私は泣き崩れた。

大北作品を語る上でその魅力としてラストの反転という点がある。
私の賜ったその作品のラスト、そこには私が今まで見たことのない「大北紘子」のラストがあった。
何故、これを私は百合姫誌上で読んでいないんだろうとも感じた。なんという報いだ、とも思った。
あの配信にこのような宝で報いて下さるほどに私は大きなことはしていない。
けれどもDMのメッセージを受けて先生が神でなく人間として創作者としてファンの声を受け取って下さったことをようやく五感で認めて感激した。


その作品についてはまた改めて語るが、そのネームは「シェパーズパース」というタイトルでピクシブにも公開されている作品だ。

www.pixiv.net

 

まるでタイムカプセルを開いたら本当は昔生まれたものなのに、真新しいメッセージを伴ってそこに存在していて、ものすごく新鮮なものとし眩しく映えた。

私の、いや、どんな人間でもそうだろうが、何かを「推す」とき。その「ファン」としての振る舞いは一種の現実から逸脱したいがための反動であるだろう。けれどもそれでもいいのだと思った。こんなありがたい宝物が賜る、その報いがあるなら。

こんなに遥かに頭上の天にある宝物であるはずなのに、今の自分に必要なものにしか見えない内容だった。不思議だ。あの大北先生の作品で確かにあの頃の大北先生の作品なのにまったく新しい。
狂おしいくらいの約束、いや誓いの物語だった。

私のほしい台詞がたくさん詰まっていて、どうしてわかるんだろう、という気がした。

好きというだけでなく共感を引きずり出されてそれはとても乱暴な力だけど不快でなくて心地いい。そういう作風、これが大北先生だ、と思い出して思い知った。

 嬉しい。それが嬉しい。

ここにあるその作品が嬉しくてならない。


私は不躾にも先生にこの作品の、あらすじについて語るお許しを頂いた。
次回配信ではその内容についてネタバレしない範囲でのあらすじと所感を述べさせていただくお許しをいただいた。
作品そのものの形成状況について、本当に本当に不躾ながら伺ってみたところ「いつか描くかも」とのことだった。
その「いつか」という三文字に私は夢をみてしまう。

しかし確かに新連載も応援したい。

なぜ大北先生は一人しかいないのか。

もはや患者になりそうだ、大北患者に。

ひとりだけで抱えておくには殺生だけれども、だからこそ嬉しくてだからこそ宝物で、もしかしたら「いつか」の到来なんかきてほしくない。独占したい。けれどそうなると誰ともわかちあえないわけで、殺生だ、先生…
そして、この殺生なところが間違いなくつまりはもうでもそういうところからもう本当にあの作品を築いている大北先生だと感じてしまった。

配信において「Vespa」「鎖の斬手」については語りたらないし、先生から頂いた「Vespa」に関する言及も語りたいし、第一が「裸足のキメラ」表題作についての語り漏れがあったので、もう一度私は場を設けようと思う。

  Live History - krkawwa - TwitCasting


神様っているんだな。クリスマスも近いことだし。そういえば「楽園の神娘―クロリス―」連載開始前に書泉グランデで「Vespa」初版を入手できたことも奇跡だった。

ここにおける神様って、なんかもう大北先生や講談社や未だ「Vespa」初版を置いていて下さったりした書店のことでもあるけど、今言ったのは本当に神様という意味での神様だ。

実際のところ「語り」を記そうとするともっと時間がかかるものを短縮して語りきれてしまうのだが、いずれ配信した内容はnoteなどでまた改めて作品ごとに少しずつ綴っていこうと思う。「ゆりがたり」も続けようと思う。

 

大北先生を、心から敬愛している。 好きでいて、良かった。

 

afternoon.moae.jp

  

楽園の神娘(1) (アフタヌーンKC)

楽園の神娘(1) (アフタヌーンKC)

 

 

裸足のキメラ (百合姫コミックス)

裸足のキメラ (百合姫コミックス)

 

 

Vespa (百合姫コミックス)

Vespa (百合姫コミックス)

 

 

 

月と泥 (百合姫コミックス)

月と泥 (百合姫コミックス)