ゆりしぐさ ~百合漫画の表紙の構図にパターンを見出す~

百合漫画の整頓をしていたら構図にある程度のパターンが見出されたので書き出してみることにしました。即ち、所持しているタイトルに限られますし、整頓中に気付いたいくつかの手近な作品をざっくり並べたものです。画像には出なかったけれどあの名作もこの構図だ! という漏らしもあるかもしれません。あくまでも一例です。

何はともあれ。

百合漫画の表紙に類似性の見られる冊子を並べてタイトルをつけて語ってみました。

 

パターン1:頬を挟んでいる

すごく百合らしい雰囲気になるのがこの表紙。

もう…何だろうな…初っ端から絵にも描けない尊さで語るのが難しい…いえ、絵なんですけどね…? 的な尊さです。一瞥しただけで理性を奪われる理由を考えてみました。

まず何故か一目で百合とわかってしまう。

何故なら女子が女子の頬を挟んで一方を注視しているから。

そして両手の掌を頬に置くという仕草で二人の距離の緊密性を決定付けています。

画像で見て頂きたいです。

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一方の女性が一方の女性の頬を挟むことによって生まれる場の雰囲気には若干恋愛だけではない支配的なテイストが加わるように見受けられます。
頬を挟まれる側の女性の表情に注視してください。
喜怒哀楽の感情が如実に表現されています。

感情の放埓さの前提として頬を挟む側である相手への信頼、安心できる存在として認識しているがための気の許しを感じさせる構図です。
こちらに示した漫画は実際に相手との秘密を共有するストーリーが多く、秘密の共有や、それから生まれるちょっとした上下関係からこの構図が導き出されたのかもしれません。

この構図から想起される関係は「信頼」「愛着」といった対等性であるように思われます。名付けるなら「君が好き」とでもいいましょうか。

男女の恋愛ものであれば「顎クイ」や「壁ドン」に匹敵する仕草でしょうか。
この「両手のひら頬挟み」あるいは「頬挟み」は「百合しぐさ」としてどんどんやっていきをしてほしい表現のひとつです。

 
パターン2:宙に浮く

浮く。浮いちゃってる。片方の女性が浮いているパターンです。

なんかもう…何? この…片方が浮いていることによってファンタスティックな女神感が醸しだされて求める理想がここにある的なこの神聖な二人の領域には誰も入れません的な…もう…筆舌に尽くしがたいとはこのことです。

画像を御覧ください。

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片方が浮いているといってもさまざまなパターンがあります。

「さよならフォークロア」においては浮いている上にあすなろ抱き
その上で「さよなら」ときているのでいかにも儚い百合といったイメージです。

「ふたりべや」「オンリー☆ユー ~あなたと私の二人ぼっち計画~」に至ってはもう相手の懐に飛び込んでしまっています。浮くどころじゃない、飛び込み
近年の百合姫作品においては出色の「明日、きみに会えたら」では鏡越しに手をあわせて浮いているという複雑な構図です。これはタイムリープを生かしたパラレルワールドもの、という物語の枠組みをよくあらわした構図とも言えるでしょう。
ちなみに「明日きみ」は複雑な設定のうちに同一キャラクターを様々な関係性の枠組みにおかせることで多彩な表情を見せるという巧妙な仕掛けに成功しています。表紙にもこれくらいの情報量が適しているといえます。
「浮遊」の表紙は少女の幻想性を表現する時に適しており、その位置関係によって彼女たちの関係性も予想できます。好き。

あくまでも私見ですが、彼女たちが離別を告げている相手は古い慣習であると前提してみます。そう定めてみると、この「浮遊」の表紙には古さとの乖離、伝統への革命宣言的な潔さも感じられます。

このパターンは「蝶々」と名付けたいです。勝手に。

 

パターン3:挙式している
はい、こちらの画像を御覧ください。

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ご成婚おめでとうございます。
もう結婚している。結婚しているんです。結婚しているんですよ。
もうこれ…わかります? 私にはわからない。尊すぎて意味がわからない。でもわかる。理解はできている。でもわからない…尊すぎて理解が及ばない領域…何この神々しい…涙がとまらない…ありがとうございます…。ありがとうございます…。
おめでとうございます。心よりお祝いと感謝を申しあげます。
「加瀬さん。」シリーズの挙式絵が表紙を飾る「ひらり、」は、当該アンソロジーシリーズの最終巻です。「明日きみ」も最終巻である二巻の表紙です。偶然かもしれませんが、共に作品的なひとつのターニングポイントを迎えている点も共通しています。
名付けるなら「挙式」

冠婚葬祭という慣習を百合に与えることで大衆性を与えることに成功しています。禁断、タブーといった暗く閉じた世界ではない、恋愛よりも一歩先の明るさや愛を感じさせます。

伝統的な枠組が百合漫画の萌芽時代に受け継がれた時、百合であることによりその枠組みが新鮮に感じられる伝統的恋愛表現構図は他にもありそうな気がします。

どんどんやっていきをしてほしいものです。

 

パターン4:並んで寝ている
よく作中の人物の目線が読者に向いているか、互いに向いているかどうかが百合では肝心という話を見聞きします。さておき、並んで寝ている構図も結構ありました。

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体も正面に向いていて目線もこちらに向けられていても二人が手をつないでいたり髪にふれあっている、という身体接触の要素があるだけでこの構図は百合ではないでしょうか。互いの所有性を誇っているように見られます。

ここでは「少女セクト」と「ひらり、」2012年夏のvol.8を並べてみます。

「ひらり、」表紙の少女二人は巻頭漫画の「花と稲妻」の人物。性質も外見も正反対な二人が仲良くなるお話です。

一方の「少女セクト」の主軸となる二人も互いに真逆の外見・性質の主です。

全く異なる性質を有する二人の少女の接触が示されている。そして、こちらに目線を向けている。これはけして読者を意識した目線というわけではなく、彼女たちの所属する組織やグループのうちから抜け出す過程の宣誓的な目線ではないでしょうか。

手をつなぐことは所有だけではなく脱出のための手つなぎ、共存性を感じさせます。

単なる依存ではなく勇気のある触れあい、未知なる存在への認識。

「蝶々」とは全く逆の実在性、リアリティがこの構図にはこもっています。好き。

名付けるとするなら「聖域」とでもいいましょうか。

二人の間には作中の邪魔者はおろか読者の介入さえ許しません。

 

他にも色々なパターンがありますが虫干しの合間に気付いたことなのでこのへんで。

また機会を改めて、単にこの表紙が好き! というタイトルの話もしてみたいです。

百合展細見

東京開催の百合展2018に行って来ました。

そして記事を書かせていただきました。その際に未掲載となった作品案内のテキストここに記録しておきます。ちなみに文体が掲載時とちょっと違います。だ・である調です。五十音順です。

media.comicspace.jp

天乃咲哉先生の展示はアニメ化もされた『このはな綺譚』。和風でファンタジックで獣耳という堪らない設定のなかに百合が踊る安心の作品。とにかく柚の可愛らしさが伝わる作品展示に目尻が下がる。 

○江島絵理先生の『柚子森さん』からは美麗イラストがふんだんに展示されている。明るい未来を予感させる完結を迎えたばかりで、小学生の柚子森さんの思い出をなぞっているかのよう。 

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○川浪いずみ先生の『籠の少女は恋をする』は辛辣な目的のもとに設立された学校の悲劇的な百合が見所。一見、性的なテーマを扱っているようにも見えるがその設定に於いて築かれるものが単なる恋ではなく純粋な友情やその絆である点が新しい。シリアスな場面の多い展開の中でもどきっとする原画の展示に足がとまる。 

○tMnR先生の『たとえとどかぬ糸だとしても』は兄の配偶者である女性への恋心にその婚姻の場で気が付くという、失望から始まる物語で百合ジャンルを超えて話題。主人公のウタに常識があるだけにその苦悩が痛ましい。鮮やかな筆致の原画展示は是非とも見ておこう。 

西尾雄太先生の『アフターアワーズ』はこれまでにない新感覚のクラブを舞台とした百合マンガ。主人公のエミはケイという女性と知り合い、その夜のうちに仲睦まじくなりそのまま一線を越える。性別へのこだわりなく踏み越える二人の絆は独特で格好いい。『百合展2017』では特別参加だったが今回からの正式参加に思わず喝采を送りたくなる。 

平尾アウリ先生の『推しが武道館いってくれたら死ぬ』は地下アイドルオタのえりぴよという立派な成人女性と彼女が魂と主にお金を捧ぐアイドル舞菜の相互片思いマンガ。百合という観点からみるとえりぴよよりも舞奈の業が深いのがポイント。安定のCamJam百合メンバー眞妃とゆめりのデート場面原画はありがたく尊い。 

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○文尾文先生の『私は君を泣かせたい』は純情ヤンキー虎島ハナと仮面優等生相沢羊の距離感が絶妙な百合マンガ。畏れていたヤンキーの涙腺が決壊する瞬間を見てしまった羊がさらりとSな素顔をさらけ出す瞬間が良い。ヤンキーという種族と百合の親和性は高く胸に刺さるだけでなくストーリーのテンポが心地よい。一喜一憂の機微も上質だ。展示ではまさにハナの泣き顔をじっくり見られるありがたさ。 

 

○南方純先生の展示は描きおろしのカラーイラスト。フルーツやスイーツをモチーフに対照的な漆黒と純白の少女二人が回転するように指を絡めている。それはもう、実質……。なんと表すかは控えるが見ておかなければ損をする。また百合展専用のPOPに至ってはファン必見のリドル尽くしだ。

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○未幡先生の『私の百合はお仕事です!』は「リーベ女学園」という百合な設定を前提としたコンセプトカフェで働く女子高生・白木陽芽が主人公。演じるべき役割と矛盾した人間関係やその人物たちの本質を赤裸々に綴り、ポーズとしての百合場面が映える一方で透かされる本心から目が離せない。華やかな絵柄で今回から晴れて参加の原画は目に焼き付けておきたい。 

 

○雪子先生の『ふたりべや』の登場はひとつのエポックメイキングだった。しっかり者の桜子が美少女かすみと同居するコメディ・ストーリーだが、ほのぼのした雰囲気のうちにたまに垣間見える桜子のかすみへの独占欲が完全に百合。愛や恋も超越して既に成婚しているとしか思えない二人の日常をいつまでも見ていたい。展示はコミックス表紙のイラストもあり鮮やかな色使いを直に拝める。 

吉富昭仁先生の『リリィシステム』の立ち上がりは『百合展2016』より百合展用に製作されたイラストシリーズ。吉冨先生といえば数ある百合アンソロジーでフェティッシュな関係性の百合を描き出しているありがたい存在。SFな百合好きにはたまらない世界観は、他の追随を許さない画力があってこそ。原画の精緻な美しさを是非鑑賞しておこう。 


○『エクレア あなたに響く百合アンソロジー』からはU35先生、川浪いずみ先生、缶乃先生、 北尾タキ先生、仲谷鳰先生、ヒロイチ先生、 結川カズノ先生の原画が展示されており、エクレアのハイライト場面が集結している。 

○百合コミック誌『ガレット』からは竹宮ジン先生と袴田めら先生の作品が展示されており見た瞬間に嬉しさが募る。竹宮先生の鮮やかな描線が描き出す凛々しさとシリアスな迫力と、時にコミカルなテンポで表現される大衆性。 袴田先生の恬淡とした雰囲気のうちに切実な情愛を抽出する作風。やとさきはる先生や寄田みゆき先生などガレット連載陣のポップも愛しく、確実に百合展にきてよかったと思えるエリアだ。

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○『ガレット』でもお馴染みの高橋みのり先生の作品は中間色で鮮やかに彩られた少女たちの自然な触れ合う姿が素敵だ。少女性をまっすぐに見つめ、自然な雰囲気のうちに寄り添う被写体は本当にその中で互いを想いあっているように映える。 

○美少女撮影活動チーム「Albina Albina」の作品群はリボンやレースをふんだんにあしらった少女マンガの世界のような雰囲気の少女たち。そっと寄り添う姿が幻想的でたまらなく愛しい。童話のような世界観でずっと見ていられる。 

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前年の「百合展2017」では15名の作家が参加していた。「百合展2018」ではその倍となる30名の作家が参加している。つまり2019年は60名、2020年には120名となることも推測される。やがて会場は国際展示場に飽き足らず世界を多い惑星を覆いつくすことであろう。
百合はまるで星の間に星座を見出すようなもの。星はもの言わず静かにそこに瞬いている。自らにとって素敵なものをただ求めよう。
そこには自分だけの星が見付かるだろう。

 

以上です。

取材目当てで行くとゆっくり見られないというか、どうしても色々考えながらばたばたするので、明日のコミティアで再度鑑賞したい。青山のスタジオはほんとにロケーションがよかったです。

 

読書馬鹿でありたい

文化庁の『平成 25 年度「国語に関する世論調査」の結果の概要』によると月に一冊も本を読まない人の割合は調査対象のうち47.5%だそうだ。
その『非読書人口』のうち本を今後も読みたいと思わない人は44.7%。

総務省統計局の統計で平成25年度の人口は127.298.000人。

平成25年度の時点で約6千万人の人が本を読まない。

更に約2千7百万人が今後も読まない非読書人層(?)にあたる。

読書をしない、これからもしない層について、これが若い人ならまだいい。
けれども同調査の結果で本を読まない層が多いのは七十代以上とある。非読書層の六割を占めている。

二十代と四十代の読書者人口は多い。若者の読書離れと言われるけれども、考えれば自然なことながら老年層の方が本を読まないということになる。


実際に老化が進むと読書自体が困難になる。自分も明らかに「初老」という言葉を実感している。年をとるほどに読書に対する体力も集中力も落ちる。

平成25年度の四十代の読書人口が多いのは単に人口の多さのせいだろうか。二十代の読書者の層はいっそ人口に対する割合が高いようにも思える。

 

年をとるほどに読書そのものが困難になるのは当たり前の話だ。この国では高齢化が進んでいる。5年前の古いデータだが、読書人口について公的な調査データが見つからなかった。数の話は例えにすぎない。


今、書籍にはライバルがたくさんある。昔、新聞のライバルはテレビと言われたが、新聞はテレビの風潮をうまく取り入れることで生き残った。同じように今の文芸はアニメやゲームや漫画を取り込んで生きようとしているようにも見える。
ウェブ上には活字も絵も映像もゲームも溢れている。VRやARという技術もある。活字や漫画の創作物が書籍に至るには審査が必要だが、ウェブには審査がない。

例えばNASAでは国家プロジェクトのスケジュールが何年も何十年ものスケールで組まれていてその大組織は変更が効かない。その間にも民間の大学や企業では最新技術が生まれて少数精鋭で資金繰りさえどうにかなれば前進する。その効能は場合によっては大きな宇宙開発局よりも早くあらわれる。つまりは開発局は鈍重だ…とは思わない。重さがなければ果たせないプロジェクトも採取できない正確な統計ももちろんたくさんある。だから開発局が不要ということはありえない。

NASAベンチャー宇宙航空企業の関係は現存する出版のしくみとweb作品の関係にどこか似ている。

 

近頃SNSで「新しい漫画の単行本が出版された時に最初の一週間の売り上げが大事だ」と言う話が出回っている。実際数字がなければ会社は成り立たないので、ある程度は事実なのだろう。けれど、その本の売れるまでにその本は需要のある人に需要のあるタイミングで届いているだろうか。例えばある書店が本を50部発注したのに届いたのが5部だった、ということもある。本が全て売れたとして、残りの45部は都市部や専門書店などへ届けられている。これが現状だ。

書店によっては発注したけれども発売日に一部も届かなかったということもある。一方で本の入りやすい書店は確かにあって、そこには在庫が山と積まれている。けれども書店には「色」がある。書店の色、つまり客層にあわない作品は手にとられずに返品に至る。発注した書店の規模が小さいとしてもそこにあれば売れたかもしれない。

そんなしくみが罷り通る一方で「最初の一週間で売れない」というだけの理由で切られる作品がどれだけあることだろう。

まるで宮沢賢治の「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」だ。かつてはそのしくみ、出版や流通のしくみに責任があると思っていた。

けれども、近頃は一読者の自分にも責任があるのではないかと感じる。

 

平成25年度の調書によれば月に一冊以上本を「読む」読書者の人口は52.5パーセント。読書をしない人でも、今後読書量を増やしたいと考える人は非読書者層のうち55.3パーセント。この数が多いか少ないかはわからない。

自分は読書をする側の人間だ。とにかく、読書をする側の人間の、そのうちの一人だ。自分が読書量を増やせば、つまりはその一冊に対する読者を一人増やせる。本の読者は、そのある一冊の読者であることについて自覚をするべきかもしれない。

例えば映画好きと言っても今はさまざまな形態で映画を観覧できる。そしてその映画のスタッフや役者、脚本家や監督に何より収入を授けるのは映画館の観覧客だ。それと同じように今後の書籍の読者は、発売直後に紙媒体の書籍で読むか電子書籍で読むかによって作者や出版社への貢献度に差が出てくる。 

 

もしもある本を読みたいと思った時に既にそれがそこになくなっている。そのために読者の資格を失っている場合、求めるのが遅すぎたという一端の責任が生じるのだろう。読者としての誇りを失わないよう、たった一人でも、その作者の読者であることを誇りにして、もっと王様みたいに求めていなければいけないのかもしれない。いや、愚者でいい。読者でありたいのなら必死でなければならない。


全体の半分の本を読む側の一人、絶対数としてそれは少なくない大多数即ち大衆のうちの一人かもしれない。作者にとって一人の読者であることを、自分が、自分こそがその作者の読者であることを作者に幸せと感じさせるような、そのような一人の読者であらねばならない。ということを、強く感じている。

 

泉谷しげるが「馬鹿にも知性が必要なんだ」という名言を随分昔に『クイズ・音楽は世界だ』という番組で発していた。多分「読者」に知性は必要ない。読書馬鹿でいいのだろう。

本が売れなくなっていく。地球上最後の一人の読者になってもファンでいます、と言えば聞こえがいい。けれど実際金輪際そうした状況は訪れない。

もし読者が地球に一人だったらもうその時点でその本は日の目をみることはないのだ。我が愛する本は聖書よりも仏典よりも広く知れ渡るように読んで拡散しなけれなければならない。読書をするならそれくらいの心意気であるべきなのだろう。

 

この記事は原題の『「読者」に知性は必要ない』から改題しています。

 

活動概況

活動が散り散りになってきたので最近行ったことをまとめておきたいと思います。

ツイキャス「ゆりがたり」

大北紘子先生の作品について語らせて頂きました。

Live History - krkawwa - TwitCasting

放送後に大北先生から生の百合作品ネームを頂いてしまったりと今さらっと語ってるけどこれ大変なことだからな。大変なありがたきハピネスだからな。大変ありがたきハピネスに見舞われたので私は年を越すことが無事にできるのかどうか。シェパーズパースの奇跡を忘れない…

www.pixiv.net

みんな「楽園の神娘―クロリス―」を読んで。ほんと…イイから…

軽い口調でしか語れないのが口惜しいけど元百合姫で掲載されていた大北先生が今は講談社で連載している漫画が素晴らしい、誰かこの事態を解説してくれ。

 

楽園の神娘(1) (アフタヌーンKC)

楽園の神娘(1) (アフタヌーンKC)

 

 

「ゆりがたり」は好評だったので年明けにまたやります。新旧問わず語りたいものが色々。

百合キャスもコンスタントにやっていけたらいいけどな…

百合の話を聞いていたらいつの間にか全員篠北礼子のファンになっていたみたいなことにしてやるからな…そう、私はいずれ「やじきた学園道中記」とか語りたいんだ。いつの間にかそういうことになるよう洗脳してやるんだからな。(何もかも口に出すよ)

 

○Enty終了

同人誌リリースや過去作品のお蔵出しの場として大いに活用させていただいたのですが、2017年末をもちまして、続けていたシリーズ終了にあたり、きりがいいので一旦終了いたします。

既存会員の方に熱く御礼申上げます。詳細はEnty内にてご確認ください。

enty.jp

 

冬コミ参加します

新刊出しますよ。今回の表紙はあおい華葉様です。

「愚図にトリセツは存在しない」は実在家電の登場する百合短編連作小説です。

クズなレズと同居する羽目になったOLさんが季節ごとに家電のトラブルに見舞われたりその故障を修理したりなんかしていくうちに百合めいた何かが生まれるあれな小説です。140P/文庫サイズです。

www.pixiv.net

既刊は「ふじょ☆ゆり」です。表紙は水菜アナゴ様。

www.pixiv.net

www.pixiv.net

 

スペースはツイッターとかでチェックしてね。

こさめ@土曜東ア20b (@krkawwa) | Twitter

 

○noteで始めたマガジンがあります。

note.mu

マガジンそのものは無料だけどnote(ページごと)は有料みたいな感じになってしまったので割高感があるかもしれない…でも創作の秘密があるのであんまり無料にはできない。初回分はEnty有料会員向けにはリリース済みの内容なので既存会員の方はお気をつけ願います。内容まったく同じです。

 

 

 

2018年はkindleをメインに長めの百合小説を書いていきたい。

ひとつ、完全に網羅したい物語があるのです。そのための勉強が不足している。

長い長い物語を綴りたいです。記事もコラムも楽しいのですが、物語がやりたい。

がんばります。

 

 

 

 

 

 

我望百合本『復刊』

唐突ですが入手困難な百合作品について、復刊ドットコム様でリクエストページを作成、自ら投票してみました。

 

まずは『愛百合女学院へようこそ』。

前半がライトテイストですが後半のシリアス展開は素敵です。

www.fukkan.com

 

既読ですが中古本しかない現状です。

 

 

『ダブル・エンゲージ 偽りの姫は騎士と踊る』

www.fukkan.com

姫と女騎士というだけで気になってはいたものの書店であまり見かけずそれっきり…。買い逃しを悔やんでいるシリーズです。

 

『ワイルドブーケ 花の咲かないこの世界で』

www.fukkan.com

女同士の主従関係…読みたい…

 

「.(period)」

www.fukkan.com

実は今回復刊リクエストにあたり著者様の現在を確認していたら瑠璃先生は既に他界されていることを知りました。遅すぎるリクエストだと実感してしまい、悔しさと切なさを感じました。名作なので復帰してほしい…

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復刊ドットコムさんではリクエストの時に価格や特典の希望を細かく確認してくださいます。まず加筆や未収録作品を希望していたのですが、ご本人が他界されているとあってはそれができない。

哀悼の意を表してリクエストしました…

表紙が玄鉄絢先生です。なんて豪華な。女の子でマフィアという自分のために誂えたのかというような一冊です。復刊してくれたらいいなあ。

 

自分がリクエスト作成したわけではありませんが投票させていただいたものもあります。

www.fukkan.com

 

タイトルが気になっていたんです。

『.(period)』といい『384403km』といい物凄いネーミングセンスだ。個人的にはすごく好きなネーミングです。

 

 

最近「あの頃の百合作品はよかった」というコメントをSNSを見かけることがあるのですが、郷愁が生じるほどにはポップカルチャーとしての百合ジャンルは幼年期を終えようとしているのかもしれない。つまりこれから成熟期を迎えようとしているのではないかと感じます。まぎれもなく、恐らく、たぶん。(確信はない)

 

「ゆりめいと」や「百合展」の開催などをみても、百合は現在人気が高まっています。

ただ、長年の百合ファンの方々の実感あるリアクションとして「自分の好きな百合は終わってしまった」というコメントを見かけます。

百合好きとしては歴の浅い自分は、その温度差が気になってしまいます。

 

百合の何が終わったのか?

「あの頃」と呼ばれる時代の百合にリアルタイムで接触できず、今は昔の古き良き百合コンテンツとされているものに、今さらながら「新しいもの」として接しているのが私という読者です。出遅れているので、百合がの何かが終わったという実感が無いままに復刊リクエストをするよりほかにないのです。

復刊は「愛蔵本」「愛蔵」「名作」化されること、レガシー化されることかもしれません。それよりも汎用性の高い再度の隆盛を待望されている場合は、復刊にはピンとこないかもしれない~と想いつつも、とりあえずリクエストしてみました。

何より再び出版されれば作者様の懐にお金が入るので、そのきっかけになればいいなという気持ちです。

 

「あの頃の百合」が稀覯本であるよりは、新しいファンの入り口になればいいなという気持ちもあります。ただ「復刊」と言った瞬間にその作品は「一度終わったもの」と化してしまいます。リアルタイムで味わっていた方にとっては、その点がひっかかりになるのでは、という気持ちもあるのですが…ただ、遅れてきた読者として考え出した一案が復刊リクエストであったという感じです。

 

基本的に出版社の使命は新人発掘と新作出版だと思っています。新しいものを作るのが前提。そうなるとファンが動かなければ出版社主導では懐古の対象として埋もれて言ってしまう。それにはあまりに惜しいと感じる作品群だと思ってます。

好きな作品に関しては積極的でありたい。自分の一票が貢献できればいいな~。そう思ったので軽率にリクエストしてみました。

そんな感じです。もしご共感いただける方は是非リクエストしてみてください。

実際、過去にリクエストした資料本が復刊されたこともあるのですが、そうなってくると本当に嬉しいものです。

 

☆この記事は2020年に文章を書き改めました。

タンブラーで風景+百合な掌編掲載をはじめました

タンブラーをはじめてみました。

実は未完成の百合小説がたくさんあるので、そちらの文章を更新したり、電子書籍の宣伝に使えばいいかなーと感じはじめています。

正直テキスト向けのツールではないかなあと思っていたのですが、視覚に訴えることが何かしたいのにできないと感じていた不満の解消につながっている…気がします。

とにかく長編脳なので、どうしたらいいかわからずにいたのですが、今まで書いていたSSですら、もしかしたら「日々目にしていただく」分量としては多かったのかもしれない…と感じて、短めの文章+画像をするようにしてみました。

以前から「風景って百合なんだよな」と思っていた。

それを具現化できそうな気がします。

 

http://kosame-tmb-blog.tumblr.com/

BWインディーズで作品をリリースしました

この度、BWインディーズからBL好きな女子同士の百合作品を無料でリリースしました。

近頃はkindleから百合官能作品を電子書籍で販売しています。

報われなかった投稿作品を世間に泳がせたいという志から始めた電子書籍化でした。その本命の作品をようやく電子書籍化できた形です。念願の、リリースです。宣伝します。無料です!kindleでは無料販売がかなわないのでBWインディーズからリリースしました。土壌的にもこちらのがあっているという気がします。

 

でんでんコンバータは使いやすかったです。記法を覚えるまでちょっとまごまごしましたが、できてみると体裁が綺麗。とても満足です。

既にキンドルで発行している作品もでんこちゃん(愛称)で組み直してあげたいです。可能なのかな…

 

『ふじょ☆ゆり 上巻』

bookwalker.jp

『ふじょ☆ゆり 下巻』

bookwalker.jp

 

この作品、本編は12万字、番外編は総じて5万字ほどあります。着手したのは2013年…でした。出版社の企画に参加した作品であり、「作品を人の世に出す」ことを意識する試金石となった気がしています。

さまざまなデジタルツールにこの作品を無料でアップしています。


カクヨム

kakuyomu.jp

kakuyomu.jp

pixiv

www.pixiv.net

のべるちゃん

novelchan.wgt.jp


taskey

taskey.me

どれでも無料で読めます。読みやすいツールから読んでいただけます。

 

上記のなかでひとつだけテキストサイトでないサイトがあるのですが、「のべるちゃん」はフリー素材を利用したノベルゲーム制作ツールです。ゲームとして絵付きで作品世界を追っていただくことができます。プレイ時間は全編通して二時間くらい。

 

2015年の年明けから夏場にかけて制作したのですが、正直ゲームはプレイするのはたやすいです。

作るのは大変でした。

取材を含めたとしても小説の執筆の方がずっと早く済みます。

ゲーム制作はとにかく時間がかかる。このゲーム制作にかけた時間で小説が何本かけるんだろうと感じました…ただ、自分の作品に絵がついていくわけですから、そこは面白かった。メディア化されるような体験ができた。ゲーム性は一切もたせられなかったのですが、シナリオ化することで作品の見直しもできました。

 

作品を表に出すこの作業を通じて、2013年以降、文章を見られること、読者に対峙する意識が育まれた気がします。

どうやったら読んでもらえるのか? ということ。

趣味でやっている間、自分は読者すら意識していなかっただろうと思うのです。継続すること、完結させること、それから好きなものについて書くこと。

このあたりを学んだように感じます。

 

余談ですが、この作品は講談社プロジェクト・アマテラス「ワルプルギス賞らいと2013」の読者選考通過作品であり、角川書店カクヨム「第一回カクヨムweb小説コンテスト」恋愛・ラブコメ部門の読者選考通過作品でもあります。

一定基準の品質(?)は保証できます。 

kakuyomu.jp

 

同じ作品、同じキャラたちには二回のチャレンジをしてもらったわけです(落選確定後のリトライですから時間的にも二重投稿ではないです)。この作品は頑張り屋だったなー。同じ作品を使いまわしてしまったのですが、コンテスト投稿と言うよりも、他のツールと同じように新しいサービスが始まる度に、この子たちを投入して働いてもらって、合う合わないを理解したり、勉強した感覚があります。

ただ、この作品を今後コンテストに投稿することはありません。もう解放してあげよう! という気持ちで今回のリリースに踏み切りました。

読んでもらえることで作品が陶冶されるといいな。

 

ちなみに、もともとはこの作品の着想は2011年に出した創作百合同人誌でした。

オタク女子の百合ってよさそう? と思いついて出した小冊子です。


ふじょゆり

www.pixiv.net

 

まだ在庫があるので、こちらはこちらで何か展開させてあげたいなーと思いつつも、当面は別の百合作品をkindle電子書籍でリリースする活動がメインになりそうです。